この一冊:『すべての、白いものたちの / ハン・ガン』

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この一冊

この本は先日ご紹介した、古本屋かえりみちさんの福袋で購入したものです。

わたしの愛車DAYSの定期点検待ちでの1時間のお供に、この本を持っていきました。

中を開くと詩のような、お話のような2〜5ページほどの短い文章の連続で、とっても読みやすくてあっという間に読み切ってしまいました。

どんなおはなし?

おくるみ、産着、しお、ゆき、こおり、つき、こめ・・・。

「白いもの」の目録を書き留め紡がれた65篇の物語。生後すぐ亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する、儚くも偉大な命の鎮魂と恢復への祈り。

河出文庫 表紙より引用

ハン・ガンさんとは?

ハン・ガンさんは、2024年のノーベル文学賞を受賞した韓国の作家。ブッカー賞をはじめとした数々の受賞歴があり、韓国内に止まらず世界的に評価されている作家さんです。

ハン・ガンさんのインタビューで、日本人に勧めたい本のなかにこの『すべての、白いものたちの』が入っていました。また「菜食主義者」というタイトルもおすすめされていて、こちらはブッカー賞にも輝いた作品ということで、いつか読んで見たい作品です。

感想

とにかく読みやすかったです。

読みやすい、というと、物足りなかったのかというと、そうではありません。

揺るぎない基礎がバックボーンにあると覗かせる圧倒的な文章力と、人間の悲しみや優しさを繊細で美しく描いていて、読んでいて雪の舞い散るような寒さなのにコートをかけてもらって暖かいというような、不思議な包容力を感じました。

ストーリーは1〜3章立てになっていて、それぞれ違った目線から書かれた美しい文章が並びます。はっきりと意図は掴めないままに読んでいきましたが、巻末の平野啓一郎さんの解説を読むと、とても納得できたので、合わせて読まれるのをお勧めします!やはり、作家の方の理解力ってすごい!

気になっていたけど、買うまでには至らなかったこの『すべての、白いものたちの』。今回福袋購入という縁で読むことができてよかったです。

今年は『流れ』というものに意識していこうと思っていて、何かが目の前に流れてきた時に、気になりながらもいつもなら見送ってしまう「流れ」を今年はキャッチしていこうと思います。

イメージとしては、回転寿司で(笑)、流れてきた気になるものを、取り逃がすことなくキャッチしていこうという・・・。時には「まずかった・・・」と思うこともあるかも知れませんが、何事も挑戦、そして経験。もしかしたらその少しのきっかけが、何か壮大な冒険に発展してゆくかもしれません。

手始めに、福袋。

そして出会った、ハン・ガンさん。

新たな流れもまた後日、ブログで書いて行けたらいいなと思っています。

すべての、白いものたちの :ハン・ガン,斎藤 真理子|河出書房新社
すべての、白いものたちの アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。

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