現在、介護を必要とされているご家族がいらっしゃるとか、ご自身で介護施設などで働いてみえる方を除いたら、多くの方々にとって、認知症とか介護というお話は、ずっと先の未来のことのように感じられるかもしれません。
しかし、誰しも年はとりますし、不幸にも病気やけがで介護を必要とすることがあるかもしれません。
認知症とか介護のお話は、ずっと身近な問題で、現実に抱えてみえる方以外の方々にも、もっと関心をもっていただきたい。特に介護の問題は、この社会全体で支えていく問題だと思います。
そこで、今回ご紹介するのは、「マンガ ぼけ日和 矢部太郎(著) 長谷川嘉哉(原案)かんき出版 以下本書といいます」です。
マンガ ぼけ日和
本書の特徴は以下の通りです。
『大家さんと僕』『ぼくのお父さん』など話題作を生み出してきた著者が、認知症患者とその家族の日常を描いた!
認知症の症状の進行具合を四季(春・夏・秋・冬)に分けて、それぞれの時期に認知症患者さんにどんな変化が起こり、介護者さんはどう対応したら良いのかがわかる構成。笑って、泣けて、不安がやわらぐ本です。【目次】
Amazonの本書の紹介ページ
はじめに
春
おばあさんの春
お父さんの春
じいちゃん
お嫁さんの春
お義母さんの春
これから
夏 ゆっくり…
ほどほどで…
不安より安心
一緒に…
無理せずラクを…
秋
幻覚の秋
お金盗ったでしょう?
つらい時期は…
帰りたい
お月見
冬
冬のはじまり
胸のうち
まだまだ
ありがとう①
ありがとう②
ありがとう③
思いやり
あたりまえのこと
おじいさんの春
筆者が、注目したのは、「はじめに」と「お金盗ったでしょう?」で取り上げている「モノ盗られ妄想」です。
実は、筆者は両親とも介護した経験があります。このお話を読んだとき涙がでてきました。
「モノ盗られ妄想」は、認知症の症状のひとつで、文字通り、お金など自分の持ち物が無くなっていると勘違いして、「私のお金盗ったやらぁ!」と家族や介護施設の職員さんをなじることです。もちろん、本当に盗ったわけではありません。でも本人は真顔で何度も激しくなじってきます。
本書では、「モノ盗られ妄想」は、「認知症患者さんのお世話を一番している方、もっとも頼りにしている方に出る」って読んだ時、これをあの時に知っていればと悔やみました。そして、自然と涙がでました。
ほのぼのするエピソードも載っています。
おばあちゃんが、お布団からはみ出して寝ているのを注意したお嫁さん。
おばあちゃんは、赤ちゃんが寝てるから・・と言っています。
見てみると、お布団にはぬいぐるみが3体寝かされています。息子さん(夫)が言います。
「オレ、3人兄弟だから・・」
読むたびに笑って、泣けて、本当に素敵な一冊でした。そして、認知症や介護の問題をもっと考えていこうと思いました。
少子化を社会全体の問題としてとらえるようになり、企業などの対応も変わりつつあります。同じように、認知症と介護の問題についてもっと関心をもっていただきたい。特に介護の問題は、家族だけで解決できないことが多いです。皆が介護施設にお願いするのを恥ずかしいと思わない社会が早く来ることを願います。
そして、もっと、介護についてみんなで話をできる機会が増えることを願っています。
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