『春の雪』三島由紀夫の原作を行定勲監督が映画化!

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ひなぎくのほぼ日記

どんなおはなし?

貴族の松枝清顕妻夫木聡)と、同じく綾倉聡子竹内結子)は、幼馴染で幼い頃からよく遊ぶ中であったが、年頃になると聡子は清顕を愛し始める。清顕も聡子に想いはあるものの、不器用でついつい辛辣な態度を取ってしまい、2人の恋は燻っていた。

そんな中、聡子に宮家との縁談話が持ちかけられる。

聡子は何としても清顕に自分の思いを伝えようと、何通も手紙を書くが、清顕はその手紙を読まずに処分してしまう。

ついに諦めた聡子は、婚約を受け入れる。

それを知った清顕は、ついに聡子への想いを自覚し、聡子の侍女である蓼科に密会を懇願する。

もともと清顕を愛していた聡子は、禁断の恋だと知りつつも、清顕を受け入れ何度も逢瀬を重ねてゆくのだが。。。。

原作は三島由紀夫

原作は三島由紀夫『豊饒の海 第1巻 春の雪』

儚くも力強く艶めいて美しいこの小説は何度かドラマ化もされているようです。

この映画を監督したのは、アンニュイ恋愛を撮らせたら日本一!の行定勲監督。行貞監督はこの原作の初映画化にあたり、三島由紀夫と親交のあった美輪明宏さんに試写をしたところ、太鼓判を押されたとのこと。

日本アカデミー賞を数々受賞する名作となりました。

竹内結子が美しい

舞台が大正時代ということで、華族のお姫様役の竹内結子さんの着物姿が本当に可愛らしく、儚くて、美しいです。

春の雪のように、消えてしまいそうな儚さですが、清顕への愛の深さには力強さも感じさせます。

少しざらついたフィルムの加減や、物陰からの画角など、美しい映像と相まって夢のような美しさです。

清顕役の妻夫木聡さんも熱演されていました。

しかし、清顕という人物に全く好感が持てなくて、終始聡子がかわいそうでなりませんでした。この清顕という人物、華族ということもあってか、あらゆる人たちに横柄な態度。

見ていてイライラしますが、この時代の華族には本当にこうした態度の人がいたのでしょう。

そんな清顕であっても、幼い頃から一緒に過ごしてきた聡子には清顕の良いところがわかっていたんでしょうか。

輪廻転生の物語

逢瀬を重ねるうち、聡子は「来世でも、どんな姿であろうとも、あなたを探して見つけます」とその思いの強さを清秋に囁きます。

そして、清顕も手の届かなく、今世ではもう会えなくなってしまった存在の聡子のことを思い、親友の本多に「また会うぜ。きっと会う。滝の下で。」と言い残します。

そしてこの原作「豊饒の海」の以下の巻では親友の本多が転生したと思われる清顕と遭遇していくという展開で、全4巻の壮大な転生の物語となっていきます。

人間、強い想いがあると「また来世も・・・」と転生への期待を抱かずにはいられません。

この映画も、袋小路に陥った2人の若者の切ない気持ちが痛々しく、美しく、心に残る映画でした。

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