小説を読むことは、読者を新しい世界に誘ってくれる素晴らしい体験となります。
新進気鋭の作家が、瑞々しい感性で綴った物語は魅力的です。
ところで、古典と呼ばれる作品には、現代に語りかける何かがあります。
その中で、筆者のお気に入りの小説の一つが、スタンダールの「赤と黒」です。
「19世紀フランス文学の革命的名著」と呼ばれている作品です。
この作品を映画化したのが、今回ご紹介する「赤と黒」です。
どんなおはなし
フランス、ブザンソン近くの貧しい製材屋の末息子であるジュリヤン・ソレル(ジェラール・フィリップ)は、才気と美しさを兼ね備えた、立身出世の野心を抱く青年です。初めは崇拝するナポレオンのように軍人としての栄達を目指しますが、王政が復活した世の中となったため、聖職者として出世しようと考えます。
そんなある日、ジュリヤンはラテン語ができることを買われ、レーナル侯爵家の子供たちの家庭教師に雇われます。そこで、レーナル夫人(ダニエル・ダリュー)に恋されたジュリアンは、最初は夫人との不倫関係を、世に出るための手段くらいに思っていますが、やがて真剣に夫人を愛するようになります。しかし二人の関係は密告などにより、町の誰もが知るところとなり、騒ぎが大きくなったため、ジュリアンは神父の薦めにより、神学校に入ることになります。
ところが、ジュリヤンは、校長のピラール神父に聖職者には向いてないと判断されてしまいます。そこで、またも類稀な才能を買われて、パリの大貴族、ラ・モール侯爵の秘書に推薦されます。
そこでは、初めは、令嬢のマチルド(アントネッラ・ルアルディ)に見下されたジュリヤンでしたが、やがて二人は激しく愛し合うようになります。
侯爵は二人の結婚に反対しますが、マチルドが家出も辞さない覚悟をみせたため、やむなくジュリヤンを、陸軍騎兵中尉にとりたてた上で、レーナル夫人のところにジュリアンの身元照会を要求する手紙を送ります。
しかし、贖罪の日々を送っていたレーナル夫人は、聴罪司祭に言われるがままに、ジュリヤンとの不倫関係を綴った手紙を送り返したのです。
見どころ
本作品は、1954年制作と、半世紀以上も前にはなりますが、原作の素晴らしさと、デジタル・リマスターの技術によって、古さを少しも感じさせず、見ごたえのある作品となっています。
出演者も素晴らしいです。
主演のジュリアンを演じるのは、往年の名優「ジェラール・フィリップ」です。
さすが、「永遠の美男子」と呼ばれただけのことはあります。イケメンです笑
そして、レーナル夫人を演じるのは、こちらもフランスの名優「ダニエル・ダリュー」です。
古典的な美しさで、複雑な役柄を熱演しています。端正な顔立ちが本当にお美しい。
ちなみに、タイトル中の赤とは軍人、黒とは僧侶を表し、ともに当時のフランスでの出世コースを示す色とのことです。
3時間を超える大作ですが、見応えアリです。
Amazon Primeで配信中です。ぜひご覧ください。
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