A24発ホロコーストの悲劇を違った目線で描く『関心領域』

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どんなおはなし?

アウシュビッツの所長ヘスは、収容所の隣に妻子と共に暮らしていた。

妻のヘートヴィヒは貧しい家庭の出身だったが、この屋敷に手を加え、空き地を庭園に作り替え、理想の居住空間をこしらえて満足している。

その横では今も収容所の煙突から煙が立ち上り、悲鳴や銃の音が響いているが、ヘートヴィヒには無関心の出来事だった。

ある日、夫ヘスから転勤することになったと告げられる。せっかく築いた理想の住まいを手放すことができないヘートヴィヒは子供たちとここに残ると言い出すのだが・・・。

スタッフ&キャスト

この映画は、作家マーティン・エイミス『関心領域 The Zone of Interest』を原作として、ジョナサン・グレイザー監督が脚本も手がけています。この小説自体は10年ほど前に出版されたようですが、監督が版権を押さえたのち、このモデルとなったヘス家族や当時の様子を調べまくったそうで。でも細かい設定とかは一切描かれず、視聴者は上官や部下とのやり取りからヘスの立ち位置を探っていくスタイル。リアルにこだわった監督は本当にアウシュビッツで撮影をしたそうです。こだわりの監督の動画がありましたので貼り付けておきます。

妻が貧しかったことは、途中で登場する母親の言葉から推測できます。また、実際のアウシュビッツ収容所内は描かれず、煙や悲鳴や武器の音などから様子を想像するのが、かえって怖いという手法、、、本当にお見事でした!アカデミー賞では、国際長編映画賞カンヌではグランプリと高く評価されています。

また音楽が本当に怖いんです!!!

とにかく不穏!!

夜見るんじゃありませんでした・・・。

音楽を担当しているのはミカ・レヴィ。彼はMicachuという名前でイギリスでバンド活動もしています。ビョークのチャンネルで紹介されていたビデオを貼り付けておきますね。

なかなかいいですよねー!ミカチュウってピカチュウから取られてるのかしら?関係ないか・・・

キャストといえば、なんといってもヘートヴィヒを演じたザンドラ・ヒュラーですよね!彼女は同じ年に『落下の解剖学』にも出演。この役もやばかったですが、この『関心領域』はさらにヤバい役でした。神経すり減ったんじゃないでしょうか。

ファッションは、不謹慎ながら1940年代というのは最高に素敵なワンピース時代でありまして、見応えがありました。

しかし、そのヘートヴィヒが着ていたかわいいお洋服は実は、収容されたユダヤ人が着ていた物だとわかるとゾッとします。

感想

いやーほんとに怖かったですね!

のっけから、のどかな湖でピクニックしている家族という素敵な光景からは似つかわしくないような、不穏な音楽が流れ、A24らしさ全開!!隣の収容所から悲鳴や怒号、発砲音が聞こえても、まるで聴こえていないかのような無関心ぶり。彼女の関心は、ついに手に入れた理想の我が家のみ。

横では夫である所長が、効率の良い焼却炉の話をしていて、これまたゾッとします。

ゾッとすることの連続です。

隣が収容所であること以外は、どこにでもいる普通の家族で、脳がバグりそうです。

そしてサーモグラフィーのようなタッチで描かれる良心に救われる・・・と思いきや、一番不穏な曲が流れるので心かき乱されてしまいます。

抜きの美学と言いますか、とにかく削ぎ落としたシャープな映画でした。かといって前衛的でありすぎることもなく、ちゃんと理解ができる映画です。

『シンドラーのリスト』とは真逆なアプローチで、ホロコーストの悲劇を描いていてとても現代的で素晴らしかったです。

無関心でいること、見過ごしていること、見ないふりをすること、その罪を感じてしまう映画です。

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