『ブータン 山の教室』心洗われる体験

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ひなぎくのほぼ日記

どんな映画?

ブータンで教職をしているウゲンは、教師を辞めオーストラリアに行きたいという夢があった。

そのため、残り1年の義務教職期間をやる気無く過ごしていたある日、政府から僻地ルナナ村への赴任を命じられる。

ルナナ村は歩いて何日もかかるような標高4800メートルにある山岳地帯の小さい村で、電気も不安定な場所。

村の人々には暖かく丁寧に迎えられたものの、スマホが欠かせない現代人のウゲンにとっては1日で根を上げるところだった。

次の日、クラス委員のペム・ザムという女の子が「学校は8時半からですが、もう9時です」と、ウゲンを起こしにくる。

すぐ山を降りようと思っていたウゲンは適当に授業をするが、子どもたちの純粋な瞳や態度、またしっかりして見えたペム・ザムが家庭に問題を抱えていることを知り、数日経った頃にはこの村に残ることに決めていた。

ウゲンは子供達に教えることで、自分の内面とも向き合い、生き方を考えていくのだった・・・。

ブータンの景色が美しい!

最初はブータンの中心部に住むウゲンを映していた為、とても近代的で驚きました。そうするうちに、僻地のルナナ村への赴任が決まり、そこまでの道中の過酷さ、そしてその先の景色の美しさは同じ国とは思えないほどでした。この美しい荘厳な景色こそが、私が想像していたブータンだったのですが、監督によると、1999年にインターネットとテレビが普及したブータンでは急速に近代化しつつあり、ブータンらしさが失われつつあると危惧感を抱いています。

ルナナ村は広大な山岳地帯で緑の草原に囲まれ、ヤクを放牧し、自然の恵みで慎ましく生活していました。暮らしには信仰があり、自然の全てのものに感謝しながら生きています。

現代っ子代表のウゲンが、いつもスマホ片手にイヤホンをしている姿に、見ている私たちはイラッとしますがそれは私たちなんですよね。

そのうち、電池が尽き、スマホに埃が積もる頃、大自然の中で子供たちと楽しく歌ったり踊ったりしている姿は、本当に健康そうに見えたし、それこそが人間の健全で幸せな姿だと思えました。

キャストのこと

主要キャストはほとんどが今回初めての映画デビューということで、本当にみずみずしい演技に引き込まれました。

主役のウゲン役のシェラップ・ドルジさんは実際音楽のレーベルに入っているということで、歌が上手ですし、村の人々もみんな存在感が素晴らしかったです。

特に、子役のペン・ザムちゃんは、実際にルナナ村に住む女の子でその生い立ちもそのまま役に反映しているとのこと。

このペン・ザムちゃんが本当に最高で、映画の成功は彼女によるものといっても良いと思いました。

100年前の日本はこうだったのでは

公式HPの監督のインタビューです。

私はこの映画が日本で公開されることを大変嬉しく思っています。私はこれまで何度も日本を訪れており、ブータンと日本は、文化、伝統、そして人々の内面において多くの共通点があると感じています。100年前の日本はまさにブータンのような国だったのではないかと想像しています。

この作品で、日本の皆様とつながることができれば嬉しく思います。

公式hpより

近代化で「らしさ」を見失いそうですが、根本の私たちの良さを忘れずに生きていきたいと、思わせてくれるような名作でした。

映画の中で、ルナナ村の村長が、外国に行きたいというウゲンに対し「ブータンは国民がみんな幸せだというが、あなたは外国で幸せになりたいんですね」というシーンは胸が痛かったです。

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