昨日(5月6日)は、イギリスのチャールズ国王の戴冠式が、ロンドンのウエストミンスター寺院で行われました。
この模様は、同日テレビ朝日系で放送の「池上彰のニュースそうだったのか!!」でも詳しく解説されていました。この番組をみて感じたのは、ヨーロッバの西側ではフランス以外では王室制度が残っている国がけっこうあるってことでした。(下図参照、国名は王室制度がある国。ただし国名は略して載せています。)
フランスといえば、フランス革命が有名ですよね。その時に王政から共和制になりました。その後はナポレオンの帝政、王政復活などがありましたが、現在は共和制です。
そして、王室の中でも世界的な注目を集めるのがイギリス王室です。そこで、今回は、イギリス王室を扱った本をご紹介したいと思います。
「名画で読み解くイギリス王家 12の物語 中野京子/著 光文社 以下本書という」です。
名画で読み解くイギリス王家 12の物語
本書の特徴
本書の特徴は以下の通りです。
王家が転変する度に途轍もない人物が生まれ、ドラマが生まれるのが英国史の面白さといえる。また大国でいまだ王室を戴いているのはイギリスだけというのも興味が尽きない。
光文社の本書の紹介ページ
本書では、イギリス王室の三王朝、イングランド人によるテューダー家、スコットランド人によるステュアート家、ドイツ人によるハノーヴァ家とその変名の王家について、それぞれ名画にからめた歴史物語を繙いてゆきたい。
(序章より)
この本の魅力
本書を読むきっかけになったのは、やはり表紙の絵画ですね。有名な絵画ですが、筆者は詳しく知りませんでした。それで、目隠しをされたこの少女はどうなるんだろうという興味から本書を読み進めました。
最初からもう血なまぐさいお話です。ロンドンの観光名所、「ロンドン塔」はもともとは城塞であり、囚人が収容され、処刑までされていたとのことです。
権力をめぐる争いとは古今東西やはり残虐なものになりがちです。
本書で筆者がもっとも気になったあの表紙の絵画もそんな権力闘争の結果の出来事を描いたものでした。
エリザベス1世の父王ヘンリ8世は、英国国教会を成立させた王として有名ですが、その経緯が、自身が王妃と離婚したかったのですが、当時のカトリック教会がこれを許さなかったことがきっかけなのです。
そのヘンリ8世は野蛮な時代の典型的な絶対君主として描かれています。自分に逆らう者は次々と処刑したそうです。
そのヘンリ8世の死後、エドワード6世が戴冠しますが、よう逝してしまいます。早速後に残された者で権力闘争が始まります。その争いに勝利したのが、イギリス初(?)の女王と言われる「メアリ1世」でした。
一方、この争いの敗者、「ジェーン・グレイ」は王位継承順位はメアリより低かったのですが、当時のプロテスタント勢力に担ぎ出され、わけもわからないまま、同じく女王宣言したのです。(ちなみにメアリはカトリック教徒でした。なお、ジェーン・グレイはメアリより先に女王として即位しましたが、在位わずか9日間でメアリにより廃位されています。)
そして、「ジェーン・グレイ」は「メアリ1世」によって、わずか16歳で処刑されてしまいます。場所はあの「ロンドン塔」。処刑直前の様子を19世紀のフランス人画家「ポール・ドラローシュ」が美しくも恐ろしい絵に仕上げたのです。
いかがでしょうか。本書にはこのお話以外にも興味深いエピソードが満載です。
あなたも名画とそれにまつわるお話で「イギリス王室の歴史」に触れてみませんか。
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