突然ですが、みなさんは、「絵画」はお好きですか?「絵画」をちゃんと見られていますか?
筆者も絵画は好きで、よく美術館などにも足を運びます。ただ、名画と言われる絵画を見て、「素晴らしかった」という感想は出ますが、どこが、どう素晴らしかったとの説明ができません。
そんなとき出会ったのが、今回ご紹介する一冊です。
「絵を見る技術 秋田麻早子 著 朝日出版社 以下本書といいます」です。
冒頭で、著者の秋田先生は、ホームズの探偵小説の一節を引用されています。
「見てはいるが、観察していない。差は歴然だ。例えば、君も玄関からこの部屋までの階段は何度も見ているね。」
アーサー・コナン・ドイル「ボヘミアの醜聞」 青空文庫
「何度も。」
「幾度?」
「ん、何百回となく。」
「では何段ある?」
「何段とな? 知らんよ。」
「無論! 君は観察していない。だが見るだけは見ている。それが差だ。さぁ、僕は十七段あると知っている。見、そして観察しているからだ。
「見る」と「観察」の違い
先生によれば、「好きなように見る」と「知識を持って見る」の間にあるのは、「観察」ということだそうです。
漠然と見ていては、多くの情報を見落としてしまいます。
せっかく、美術館まで足を運んでも、「絵画」を「好きなように」見ただけでは、すごくもったいないですよね!
観察だけでも分かることがたくさんあります。では、絵画を観察するために必要なスキームはどういうものか、それは、美術の訓練を受けた人と、そうでない人との、目の動かし方や着眼点の違いから見えてきます。
本書より
いかがでしょうか。
ここで、本書の特徴を掲載しておきます。
同じ絵を見ても、プロと素人では、見ているところが違っていた!?
・なぜ、この絵に惹きつけられるのだろう?
朝日出版社の本書の紹介ページ
・この絵の主役はどこ?
・前情報なしに、どう見たらいいの?
・バランスや構図が良いとか悪いとか、みんな何を見て言っているの?
ちゃんと絵の中にヒントがあるんです。
センスがなくても、知識がなくても、目の前の絵画を「自分の目で見る」、
そして「良し悪しを判断する」ことは、できるんです。
謎を解くカギは、ぜんぶ絵の中にあります。
絵の研究は、「意味」と「形」の二本柱。
この本では、これまであまり触れられてこなかった、「造形」の面から歴史的名画を見ていきます。
描かれたモノを「見る」ためには、少し見方を訓練していないと気づかないものです。
ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルーベンス、
ベラスケス、フェルメール、ゴッホ、セザンヌ――
超有名なあの名画、知られざるあの傑作、
どう見たらいいか迷う抽象絵画、20世紀を代表する写真まで――
どう見たらいいか、初めて分かるようになります。たくさんのカラー作品が練習問題。
はじめて見る絵でも、パズルを解くように絵を読み解いていく面白さ、
味わってみませんか?
「どういう絵に対しても使える本書で紹介した絵の見方は、
コンパスのような役割を果たしてくれるはず。
名画がどうして名画と呼ばれるのか。
今まで見ようとしなかった真実が、きっと見え始めるでしょう」――著者
先生によれば、
この本で紹介する「絵をみる技術」は、歴史的名画という人類の宝の海を航海するための、地図とコンパスのような役割を果たしてくれます。
本書より
とのことです。
「絵画」は、人が描いたものです。そこには、必ず描いた意図や理由があります。それらを少しずつでも理解できるようになれば、「絵画」を見る楽しみが増してくると思います。
あなたも本書をきっかけに、少しずつ「絵画を見る技術」を身に着けてみませんか。
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