FP3級の問題に挑戦!「金融資産運用(実技編)」

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株価 ひなぎくのほぼ日記

FP試験(ファイナンシャル・プランニング技能検定)は1級、2級、3級とも学科試験実技試験で行われ、それぞれ合否判定を行います。

2級と3級の学科の問題は日本FP協会と一般社団法人金融財政事情研究会(金財)と共通です。
実技試験は選択科目方式になっており、受検申請の際に試験科目(業務)を選択します。
ちなみに、3級は金財では、「個人資産相談業務」と「保険顧客資産相談業務」からの選択となります。
(参考)FP技能検定のサイト(一般社団法人金融財政事情研究会)

そこで、今回は、FP3級の「実技試験」に挑戦してみましょう。

金融資産運用(実技編)

【第2問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問4》~《問6》)に答えなさい。

会社員のAさん(45歳)は、妻Bさん(44歳)および長男Cさん(17歳)との3人暮らしである。長男Cさんが通う高校では資産形成についての授業が行われており、株式や投資信託の基本的な仕組みを学んだ長男Cさんは、将来、株式や投資信託に投資をしてみたいと考えるようになった。Aさんは、投資に関心を持ち始めた長男Cさんと一緒に、銘柄を選ぶ際の判断基準や取引のルール等について理解したいと考えている。
そこで、Aさんは、長男Cさんを連れて、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんを訪ねることにした。Mさんは、来訪したAさんと長男Cさんに対して、X社株式(東京証券取引所上場銘柄)とY投資信託を例として、株式や投資信託に投資する際の留意点等について説明を行った。

※決算期:2023年11月30日(木)(配当の権利が確定する決算期末)
<Y投資信託(公募株式投資信託)に関する資料>
銘柄名 : 日経225インデックス
投資対象地域/資産 : 国内/株式
信託期間 : 無期限
基準価額 : 13,000円(1万口当たり)
決算日 : 年1回(10月20日)
購入時手数料 : なし
運用管理費用(信託報酬) : 0.187%(税込)
信託財産留保額 : なし
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 実技試験<個人資産相談業務>(2021年9月実施)改題

《問4》 はじめに、Mさんは、<X社に関する資料>から算出されるX社株式の投資指標について説明した。MさんのAさんおよび長男Cさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。

1) 「X社株式のPERは15倍です。一般に、PERが高いほど株価は割高、低いほど株価は割安と判断されます。」
2) 「X社のROEは8%です。一般に、ROEが低い会社ほど、資産の効率的な活用がなされていると考えることができます。」
3) 「X社の配当性向は2%です。一般に、配当性向が高いほど、株主への利益還元の度合いが高いと考えることができます。」

正解:1

1 正しい。

株価収益率(倍)(PER)とは
株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを見る指標。株価の割安・割高の一般的な判断基準となります。

株価収益率(倍)(PER) =$\frac{株価}{1株あたり当期純利益(EPS)}$

問題に当てはめて計算すると、
1株あたり当期純利益(EPS)  =$\frac{当期純利益}{発行済株式数}$なので、
$\frac{120億円}{1億株}=120円$ となります。

株価収益率(倍)(PER) =$\frac{1,800円 }{120円}=15倍$ となります。

2 誤り。

自己資本利益率(ROE)とは
自己資本を使ってどれだけ最終利益を上げているのかを見る指標。その会社の収益力を表します。

自己資本利益率(%)(ROE) =  $\frac{当期純利益}{自己資本}×100$

問題に当てはめて計算すると、
自己資本利益率(%)(ROE) = $\frac{120億円}{1,500億円}×100=8$% となります。

ROEが高い会社ほど、資産の効率的な活用がなされていると考えることができます。

3 誤り。

配当性向
配当金を当期純利益で割ることで求められる指標で、利益のうち、株主に還元した割合がわかります。

配当性向(%) = $\frac{配当金}{当期純利益}×100$

問題に当てはめて計算すると、
$\frac{36億円}{120億円}×100=30$% となります。

なお、配当利回りとは
株価に対する年間配当金の割合を見る指標です。

配当利回り(%) =$\frac{1株あたりの年間配当金}{株価}×100$%

《問5》 次に、Mさんは、X社株式を売買する場合の留意点等について説明した。MさんのAさんおよび長男Cさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。

1) 「証券取引所における株式の売買注文の方法のうち、成行注文は、希望する売買価格を明示せず、希望する銘柄、売り買いの別および数量を指定して注文する方法です。成行注文は、指値注文に優先して売買が成立します。」
2) 「権利付き最終日である2023年11月30日(木)までに、X社株式を買付約定(購入)すれば、X社株式の次回の期末配当を受け取ることができます」
3) 「仮に、特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を株価1,800円で100株購入し、同年中に株価2,000円で全株売却した場合、その他の取引や手数料等を考慮しなければ、譲渡益2万円に対して20.315%相当額が源泉徴収等されます」

正解:2

1 正しい。

成行注文は、指値注文に優先して売買が成立します。

2 誤り。

権利付き最終日とは
株主の権利(配当・株主優待・株式分割・株式無償交付等)を取得することができる最終取引日を指します。
権利確定日の2営業日前が権利付き最終日となり、権利付き最終日の大引け時点で、該当する銘柄を保有していれば、株主の権利を取得できます。

本問の場合、2023年11月28日(火)が権利付き最終日となります。

3 正しい。

譲渡所得は「譲渡収入金額ー取得費・譲渡費用」で求めます。

(2,000円×100株)ー(1,800円×100株)=20,000円 となります。
これに対して、所得税(復興特別所得税含む)15.315%・住民税5%が源泉徴収等されます。

《問6》 最後に、Mさんは、Y投資信託を購入する場合の留意点等について説明した。MさんのAさんおよび長男Cさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。

1) 「Y投資信託のように購入時手数料を徴収しない投資信託は、一般に、ノーロードファンドと呼ばれます。投資信託に投資する際には、購入時だけでなく、保有中や換金時にかかる費用等も勘案して銘柄を選択することが大切です。」
2) 「運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有する投資家が負担する費用です。一般に、Y投資信託のようなインデックス型投資信託は、アクティブ型投資信託よりも運用管理費用(信託報酬)が低い傾向があります。」
3) 「仮に、Y投資信託を基準価額13,000円(1万口当たり)で1万口購入した後、最初の決算時に1万口当たり200円の収益分配金が支払われ、分配落ち後の基準価額が13,200円(1万口当たり)となる場合、その収益分配金は、全額が元本払戻金(特別分配金)として非課税となります。」

正解:3

1 正しい。

2 正しい。

3 誤り。

Y投資信託を基準価額13,000円(1万口当たり)で1万口購入した後、最初の決算時に1万口当たり200円の収益分配金が支払われ、分配落ち後の基準価額が13,200円(1万口当たり)となる場合、分配前の基準価格は、13,200円+200円=13,400円です。

分配落ち後の基準価額が個別元本より上回っているので、200円の分配金は全額が普通分配金(配当所得)として課税されます。

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