「虎に翼」が遺したもの

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ひなぎくのほぼ日記

先週(2024年9月27日(金))にNHK朝ドラ、「虎に翼」が最終回を迎えました。

本ブログでは、これまでに、「虎に翼」についてご紹介しています。

主演の伊藤沙莉さんを始め、キャストが素晴らしく、脚本も秀逸で、今後も語り継がれるであろう名作となりました。

このドラマで一貫して扱ったのが、「差別と偏見」でした。

主人公寅子(ともこ)が最初にあたった壁が、法曹界における「男女差別」でした。
当時(戦前)、女性にようやく法曹界への扉が開かれたものの、弁護士になるほか選択肢はなく、裁判官や検察官にはなれなかったのです。

戦後、日本国憲法が公布されました。

そして、このドラマで何度も取り上げていたのが、憲法14条です。

山田よね(土居 志央梨)と轟(戸塚 純貴)の法律事務所の壁にも大きく書かれていました。

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
(憲法14条1項)

そういえば、先日放送されたNHK「クロージアップ現代」に出演された、「虎に翼」の脚本を担当された、吉田恵里香さんも語ってみえましたが、「憲法14条って当たり前のこと」が書かれているのです。

戦後生まれの筆者には戦争体験はなく、平和が当たり前で、子供の頃は差別なんてこの世にはないって思っていました。

ところが、成長するにつれ、世の中には様々な差別や偏見が存在していることがわかってきました。

ドラマでも、さまざまな差別や偏見が描かれています。男女差別のほか、朝鮮半島出身者に対するもの、性的マイノリティに対するもの、障がい者に対するものなどなど・・

男女はこうあるもの、仕事とはこうあるもの、親子とはこうあるもの・・さまざまな常識と言われるものにも疑問を投げかけました。そして、夫婦別姓についても取り上げていました。

ドラマ後半では、原爆裁判が描かれ、後半のヤマ場となりました。

そして、刑法の尊属殺人の規定の違憲判決が描かれました。

改正前の刑法では、尊属殺人の規定が置かれていました。

人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。(刑法199条)

尊属殺については,これとは別に特別の規定を設け,その刑を「死刑又ハ無期懲役」(刑法200条)のみに限っていたのです。

1973(昭和48)年4月4日、最高裁は判例を変更して、刑法200条は憲法14条に違反して無効、と判決しました。法律を学ぶ者はこの1973年の判決は必ず覚えておきたいものです。

「刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限つている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法14条1項に違反して無効であるとしなければならず、したがつて、尊属殺にも刑法199条を適用するのほかはない。この見解に反する当審従来の判例はこれを変更する。」

最高裁昭和48年4月4日大法廷判決(昭和45年(あ)第1310号)

「虎に翼」はさまざまな重いテーマをエンターテイメントの力を借りて、人びとに投げかけたドラマとなりました。

でも、とりあえず、主演の沙莉さん、半年間お疲れ様でした。今後のご活躍も期待しています。



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