どんなおはなし?
誰もが知っている作家、宮沢賢治。
賢治の生い立ちを、その父親の目線から語る。
岩手県花巻市で代々質屋を営む商家の長男として生まれた賢治。
その誕生を誰よりも喜び、病気の時は甲斐甲斐しく看病をして大切に育てる父親。
学校にも通わせ、将来は立派な跡取りとなることを望んだが、賢治は農学校に進学し、文学や宗教に傾倒していく。
衝突することも多かった親子だが、賢治の良き理解者である妹トシの立ち回りで関係を保っていたのだが、ある日トシが結核にたおれてしまう……
原作は門井慶喜さんの小説で、直木三十五賞を受賞しています。
とても見やすい作品
宮沢賢治作品は童話とはいえ、わかりやすいものもありますが、難解なものもあって独特な作風に考察を読まないと分からない……一体賢治には世界はどんな風に見えているのだろう?というものも多いですよね。
この映画では父親の目線で客観的に賢治を描いていて、いたって普通の人生を進んでいくのですが、それが感受性の鋭い賢治には生きづらそうにしていて、度々父親と衝突してしまいます。
そこに最愛の妹トシの存在が大きく、映画でも芯の強いトシによって家族がまとめられている脚本となっており、物語としてとても見やすい組み立てでした。
このトシ役の森七菜ちゃんが、とても素晴らしくて、本当に良い役者さんだと思います。
時には賢治の話を夢中で聞く無邪気な妹であり、祖父にも毅然とした態度で諌めることのできる芯の強さも持ち合わせ、病床での演技も素晴らしかったです。
賢治役の菅田将暉さん、父親役の役所広司さん、母親の坂井真紀さん、祖父役の田中泯さん、それぞれに素晴らしく、安定して見られる作品です。
登場する作品
「風の又三郎」
「銀河鉄道の夜」
「雨ニモマケズ」
見終わったあとには、宮沢賢治の作品を読みたくなること間違いなし。
ぜひ秋の夜長にご覧ください。
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