どんなおはなし?
人間とロボットが共生する時代。
世界最高水準のロボットと言われる7体の高性能ロボットと、その開発者である科学者たちがが次々と破壊される事件が起こった。
そのロボットの一体である、ドイツのゲジヒト刑事はその事件を追って日本へと飛ぶ。
日本には高い電子頭脳を誇るアトムという少年ロボットがおり、ゲジヒトはアトムやお茶の水博士らと接触し注意を呼びかける。
捜査協力ということで、ゲジヒトのメモリーチップを共有するアトムは、ゲジヒト本人も気づいていない「消された過去」を知り、哀れみの表情を浮かべるのだった。
竜巻とともに現れ、次々とロボットを破壊する巨大なロボット・プルートウとは一体何者なのか・・・
深い悲しみに囚われた悲劇のロボットの正体が明らかとなってゆく・・・
原作は手塚治虫先生の鉄腕アトム!
原作は手塚治虫先生の『鉄腕アトム』の中の<地上最大のロボット>という180ページほどのお話で、
手塚治虫文庫全集『鉄腕アトム⑦』で読むことができます。
鉄腕アトムの誕生したとされる2003年。アトム生誕記念の企画としてこの<地上最大のロボット>をリメイクするという企画を、少年時代このお話を読んで感銘を受けた浦沢直樹先生が提案されたところ、ご自身でのリメイクが決まったとのこと。超一級の2次創作と言えるでしょう!
少年時代の浦沢先生はこの作品を読んだ時のことをこう語っておられます。
子どものころから、この漫画はいわゆる“金字塔”だと感じていましたね。『鉄腕アトム』は漫画の世界全体に君臨する作品なんですが、その中の『地上最大のロボット』を読んだときに、「生まれて初めてこんなに切ない話を読んだ」と感じたんです。まだ生まれて何年も生きてないのにね(笑)。その当時、子どもが読むようなものは他にもありましたし、テレビでアニメも観られる時代でしたが、その中でも際立って切ない読後感を味わったことを覚えていますね。
また、公式HPでは「地上最大のロボット」のことをこう説明されています。
そもそも「地上最大のロボット」は、連載誌「少年」で『鉄腕アトム』とともに、人気を博していた横山光輝の『鉄人28号』に対抗して描かれたという。
だが、アトムの敵役となるプルートウは、戦うためだけに作られ、主人の理不尽な命令に逆らうことができないという、悲哀に満ちた存在として描かれた。また、モンブラン、ノース2号、ブランド、ゲジヒト、ヘラクレス、そしてエプシロンといったロボットたちも、わずかな登場ながらも鮮烈な印象を残した。さらに、一連の事件の黒幕として重要な役割を担うサルタンとアブーラ博士もまた、それぞれキャラクターがもつ背景も描かれ、単なる悪役にとどまらない魅力を放っている。
そして、物語の根底にある戦うこと・戦争への批判精神に裏打ちされた物語は、単なるバトルアクションに止まらない高いメッセージ性を込められた作品となっている。
浦沢直樹先生といえば、「20世紀少年」や「モンスター」など人間ドラマとサスペンスが融合された「次どうなるの?」とハラハラドキドキさせる手法がお見事な作家さん。
その手法が今作でも見事に発揮されていて、謎に次ぐ謎で物語をグイグイ引っ張っていきます。
原作よりもドラマ性も増していて、ロボット一体一体への感情移入を促し、胸が苦しくなります。
そして、圧倒的な画力!!
あの原作のロボットたちがカッコよくなって見応え抜群です!!
↑この光子エネルギーロボット・エプシロンが↓こんなイケメンに!!!
もちろん、手塚治虫先生の原作は最高で、簡潔で読みやすく、それなのに切ない読後感に襲われるのはもう本当に天才。
この原作とは真逆に、複雑に難解になっているのが『プルートウ』で、大人が見て十分な手応えを感じる作品となっています。
懐かしい面々が登場!
アトム
原作のアトムは多少無鉄砲なところもありますが、浦沢アトムはとっても可愛い!
ウランちゃん
原作でも、天真爛漫なウランちゃんは、プルートウと友情を育みました。浦沢ウランは人や動物やロボットの「悲しみ」を敏感に察知する慈愛の持ち主として描かれています。
お茶の水博士
手塚漫画には欠かせないお茶の水博士!見るとホッとします。
天馬博士
アトムを作った天馬博士。ちょっとミステリアスな風貌ですがアトムへの愛は強いです。
どこで見られる?
アニメ『プルートウ』はNetflixで配信されています。
全8エピソードからなり、一つのエピソードがなんと1時間という気合の入り用!
濃い物語をじっくりと咀嚼しながら、ぜひゆっくりとシリーズを味わってみてください!
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