スノーマンの作者が両親を描いた珠玉のアニメーション映画『エセルとアーネスト』

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アニメ

どんなおはなし?

1928年のロンドン。

お屋敷でメイドをしていたエセルは、ある日牛乳配達人のアーネストと出会い恋に落ちる。

結婚した2人は貧しいながら一人息子を授かり、幸せに暮らしていた。

しかし第2次世界大戦が始まり、息子を疎開させることに・・・。

世界は激動の時代となっていく。

スノーマンの作者の絵本が原作

『スノーマン』『風が吹くとき』『さむがりやのサンタ』など、数々の名作絵本の作者であるレイモンド・ブリッグスの名作絵本の映画化です。

この『エセルとアーネスト』は英国ブックアワード最優秀イラストブックオブザイヤー賞も受賞しており、レイモンドはイギリスでは国民的な作家さんです。

この作品では、至って普通のイギリスの家庭で生活を営んでいた両親と、自身の思い出を描いています。冒頭では絵本作家となったご本人が登場し、スノーマンの食器を使っているシーンがあり、和みます。

とにかく原作の、味のある美しいイラストの質感を損なわないようにと、慎重に製作されたアニメーションの出来が素晴らしい!!!

風景やインテリア、人物のファッションも細部までとても素敵です。

声を担当されたジム・ブロードベンド、ブレンダ・ブリッシンのお二人もとてもキャラクターの雰囲気に合っていて、作者のレイモンド自身も「2人の声を聞いたとき両親を思い出した。アフレコ中ずっと泣きっぱなしだった。」と絶賛されています。

戦争の時代を生き抜いた普通の庶民の目線

冒頭でも語られる通り、ごく普通の夫婦の物語を描いているのですが、ちょうど世界は第2次世界大戦に突入する時代で、戦争に巻き込まれながらも、懸命に、そして普通に生活していく姿に胸を打たれます。

この感覚は『この世界の片隅に』をみた感じととても良く似ています。

イギリスがドイツと開戦したと聞き、エセルが

「どうして私たちみたいに幸せに暮らせないのかしら?」というシーンがあります。

貧しいながらも質素に暮らし幸せそうだったエセルとアーネスト。映画のコピーには『普通を懸命に生きたすべての父と母へ』と書かれていて心打たれます。本当にいいコピーだと思います!

今世界で起こっている戦争や紛争に疑問を抱かずにはいられません。

とても素敵な作品でした。

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