親友から急に絶交されたらどうする?「イニシェリン島の精霊」

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どんなおはなし?

アイルランドの美しい孤島イニシェリン島

小さく閉鎖的なこの島に住むパードリックコリン・ファレル)は、日課であるパブへ行こうと、今日も友人宅を訪れます。

「おーい、コルム!パブへ行くぞ!」

「・・・・・・・」

窓の外から何度呼びかけても、コルムブレンダン・グリーソン)は煙草を燻らしながら椅子から動きません。

「・・? 先に行ってるぞ?」

何かおかしい・・・パードリックがパブの店主に相談していると、コルムが入ってきてこう言いました。

「お前はいい奴だが、退屈で話もつまらない。残り少ない人生をお前との無駄話に費やすことが耐えられなくなった。今日から話しかけるな。絶交する。」

この絶交宣言が、エスカレートしていき、島を震撼する出来ことが起こってしまいます。

監督は「スリー・ビルボード」の鬼才、マーティン・マクドナー

スリー・ビルボード」を見た時も、やばいもの見ちゃったな(良い意味で)と思いましたが、こちら「イニシェリン島の精霊」も凄かったです。

前半は、原始の自然の残るような、圧倒的風景の美しい島で、満足し切った表情のコリン・ファレルが住人と挨拶を交わしていくシーンから始まります。

さぞや、満ち足りた島なのかと思いきや、いきなり始まるおじさん同士の小さな喧嘩

「どしたん?何があったん?」と心配するパブの店主。島でバカにされているドミニクという若者にも「12歳かよ・・・」と突っ込まれる始末。

この「12歳かよ・・・」はまさしく観客の心の声!思わず笑ってしまうシーンです。

そんな、一体何を見せられてんねん、な笑ってしまう状況が、

「これ以上話しかけるなら、俺は自分の指を一本ずつ切り落とす!」

というコルムの宣言で、緊迫したサスペンスへとガラッと雰囲気を変えていくのです。

お見事でした。

とにかく俳優陣の演技が素晴らしい!

善良だけどつまらない男パードリックを演じたコリン・ファレル、眉毛ってここまで八の字になるんだなって思う表情の七変化を見せてくれます。

音楽や芸術を愛し、フィドルで作曲もする知的な男を演じたブレンダン・グリーソンがまた、良い!パードリックに付き纏われ、「は???」ってウザそうにする表情が絶品!!

そして島でバカにされている男ドミニクを演じたバリー・コーガン「聖なる鹿殺し」で異彩を放っていた彼は、今作でもピカイチの存在感。空気の読めないお馬鹿者なのに、どこか優しく純粋な憎めないドミニクに憑依してました。シボーンへの告白シーンは何故か心に沁みます。

そのシボーンはパードリックの妹で、本土から出戻りの、本好きで知的で優しい女性。ケリー・コンドンがこれまた素晴らしい演技で、コルムすら一目置く女性を演じていました。

突然、友人から拒絶されたら・・・

ここまでエスカレートしなくとも、実際職場や飲み会での会話など「何だろう、この実のない話は・・・」と感じる場面ありますよね。

私は最初、ちょっとコルムの気持ちがわかったりもしました。2時間も馬のフンの話をされたら・・・その2時間で映画1本見れるじゃん!となってしまいそう。

しかし、映画を2時間も見るなら、友人とのおしゃべりの方が有意義だと思う人もいるかも知れません。

パブの店主たちは、パードリックは「いい奴」、コルムとシボーンは「考える奴」と括っていました。

もともと、持つものや思想が違っても、優しさや思いやりで繋がっていた関係が、何かの心境の変化でこんなにも対立していくのかと、島から遠く見える本土であがる爆弾の煙から、アイルランド内戦とリンクしていき、とにかく素晴らしい演出でした。

ラストには悲劇もありますが、小さな思いやりの芽が微かに光も見せてくれます。

おじさんの喧嘩から、ここまで考えさせてくれる脚本、お見事でした!

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