どんなおはなし?
教会に設置されたベイビー・ボックスに、1人のやつれた若い女性が赤ちゃんを置いていった。
すぐに当直のドンスは赤ちゃんを確認して、ある男に引き渡す。その男サンヒョンは、教会に捨てられた子供を、養子縁組して手数料をもらうブローカーだったのだ!
その一連の動向を、車の中から伺う2人の女性警察官。
人身売買を疑ってサンヒョンたちを張っている。
教会には、赤ちゃんを返してほしいと母親ソヨンが引き取りに。
なぜ彼女は子供を捨てたのだろうか。
是枝監督の韓国映画
是枝裕和監督の韓国映画ということで、実はどうなんだろうな…と思っていました。
以前フランスで撮影したカトリーヌ・ドヌーブ主演の「真実」があまり刺さらなかったので、是枝監督は日本映画でこそ輝くと思っていたのです。
しかし、この「ベイビー・ブローカー」はとても良かったです。
同じアジアということもあるからか、是枝監督の湿気感がとても似合う映画でした。
ソン・ガンホとIU
ソン・ガンホ大好きなんですよねー!
あまり韓国映画に詳しくないのですが、「パラサイト 半地下の家族」で見てから味のある俳優さんだと気になっていて、その後「グエムル」「殺人の追憶」で、大好きー!となりました。今回の役も良かったです。
そしてIU。
実は「ヒョリの民宿」のシーズン1で従業員として出演してたジウン。
とても可愛かったので気になって調べたら、IUという歌手で、ベイビー・ブローカーにも出演していると知り、この映画を見るきっかけになったのです。
普段の彼女は、ちょっと天然でマイペース。ダサい服が好きで真面目でボーッとするのが好きなどこにでもいる女の子だったのに、この「ベイビー・ブローカー」では、ヤンキーなような荒んだ役柄で、悪態のつき方は凄みもあり、そのギャップに驚き!さすがは役者さんですね。
あと、私の大好きなペ・ドゥナも出ていました。欲を言えばもう少し掘り下げて欲しかったキャラクターです。
産まれてくること、他人との関わり
この映画では、子供を捨てる母親は無責任だという概念から始まりますが、その諸悪の根源である無責任な母親ソヨン(IU)と接するうち、いたたまれぬ理由があるのだと知ります。
「子供を産んで捨てることが、産まずに殺すより悪いの?」
とソヨンは言います。
ハッとするドンスと同じように私もハッとしました。
妻子に見放されたサンヒョン
母親に捨てられた過去を持つドンス
施設育ちでで中々養子縁組されないヘジン
子供を捨てたソヨン
誰もが自分の存在価値を疑う中、お互いに伝え合う「産まれてくれてありがとう」という暖かい言葉に、他人との関わりと思いやりが血より温かいことを知ります。
是枝監督にしては、後味悪くないのはソン・ガンホのおかげではないでしょうか。カンヌでは最優秀男優賞も受賞しています!
良い映画でした。
ベイビー・ブローカー(字幕版)(Amazonプライムビデオ)
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