どんなおはなし?
琵琶湖のほとりの貧しい村で暮らす源十郎と藤兵衛の兄弟。
戦争により長浜が取引で賑わっていることを聞き、兄の源十郎は得意の瀬戸物を焼いて商いを、弟の藤兵衛は侍になって、お互いに一攫千金を狙うことに。
源十郎の妻・宮木は幼い子を抱え「貧しくても家族で平和に楽しく暮らしていたい」と訴えるが、兄弟は長浜へと向かう。
源十郎の瀬戸物は飛ぶように売れ、ある名家のお姫様の目に留まり屋敷へと招待される。美しいその姿に心を奪われ、その屋敷にいつく源十郎だったが、実は恐ろしいことに巻き込まれているのだった・・・
名作のブレンド
元は上田秋成の『雨月物語』の「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の2編に、モーパッサンの『勲章』を加えて脚色されています。
怖くて名作と名高い『雨月物語』、一度読んでみたいと思っていますがまだ未読です。
3つのお話がブレンドされているとはいえ、一つの映画としてまとまっていました。
2人の名女優
源十郎の慎ましく模範的な妻・宮木を田中絹代。
源十郎を誘惑する怪しい美しさを持つ若狭を京マチ子が演じています。
こんな美女2人を翻弄するにはちょっと物足りなかった源十郎ですが、本当に画面映えして美しいお二人でした。
人間としての生き方の正しさ
この映画のテーマは、妻が「お金儲けなどいいから平穏に一緒に笑って暮らしていたい」と伝えたにもかかわらず、「家族のために金を儲けにいくんだ」と、自分の欲望を正当化して出て行った男の末路がいかにも悲劇だったことで、本当にラストはとてもやるせない気持ちになります。
しかし、希望も残されていて、人間としての生き方の正しさ、みたいなものが伝わる名ラストシーンでした。
海外での評価も高く、第13回のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞も受賞しています。
日本映画が誇る名作『雨月物語』。みなさんもぜひご覧ください!
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