密室劇の金字塔「12人の怒れる男」

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アマプラ便り

どんなおはなし?

少年が父親を殺害したという第一級殺人事件陪審員12名は、事件の審議について控室で話し合っていた。

少年にはアリバイもなく、事件の目撃者もいたことから、11名は有罪を主張したが、ただ1人の陪審員は無罪を主張する。

「私が有罪といえば、大した議論をするまでもなく1人の少年の死刑が確定してしまう。もっと慎重に話し合うべきだ」というその男の考えに賛同するもの、面倒くさがるもの、怒るもの・・・12人の陪審員たちは空調が壊れた暑い室内で、熱い議論をかわすのだった。

ほぼ1室のみで完結するストーリーの見事さ

驚きました。1時間半ある映画のほぼ全てが1室で繰り広げられる会話劇です。

最初、裁判が終わり控室に入ってくる12人の陪審員と、被告人の少年の憂いを帯びた表情が映し出されます。後にも先にも被告人が登場したのはこのシーンのみ!

後は陪審員たちが繰り広げる議論によって、事件の詳細がわかっていくというシステム。

最初は優勢だった「有罪」がだんだんと「無罪」に傾いていく陪審員たちの心情がとても見事に描かれています。

俳優たちも素晴らしく、ヘンリー・フォンダの正義感あふれる演技や、リー・J・コップの激情あふれる演技で一層白熱したドラマとなりました。

また、空調が壊れていて、外では雨も降るようなジトっとした暑さで、男たちは汗だくで議論しているのも、自分の結論が少年の生死を左右するという緊迫感も感じられる見事な演出!

この映画は「密室劇の金字塔」として評価されていて「物語は脚本が面白ければ、場所は関係ない」という説を体現している作品として引き合いに出されるそうです。

感想

豪華なセットや気を衒った設定もないのに、エネルギーのある素晴らしい映画でした。

脚本と、俳優たちの名演技があれば、1時間半ただ同じ部屋での会話だけでも十分ハラハラドキドキできるんですね!

最初は優勢だった「有罪」が、1人また1人と「無罪」に主張を変えていくところが本当に面白かったです!

そして、ワンカットだけ映った被告人の少年が絶妙のチョイスで、その後の議論を聞いていると少年の顔が浮かび、見る側も少年の罪状に疑問を持つという仕掛け、素晴らしい演出です。

1957年と、古い映画ですが、映画脚本の真髄を見たような気がしました。

Amazon Prime Videoにて配信中ですので、お見逃しなく!

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