現在、放送中のNHKの2024年度前期の朝ドラ「虎に翼」。筆者も欠かさず観ています。
主人公佐田寅子(さだともこ)(伊藤沙莉)のモデルになった方が、三淵嘉子さんです。
1938(昭和13)年、日本で女性が初めて司法試験に合格し、1940(昭和15)年に3人の女性法曹が誕生した。そのひとりが、戦後初めて女性の判事・裁判所長となり、家庭裁判所創設にもかかわった三淵嘉子さんである。
三淵さんは、女性が参政権さえ持たない=立法に携わることさえできない時代に、明治大学で法律を学び、弁護士になった。
太平洋戦争、慣れない田舎での疎開生活、家族との別れ……激動の時代を経て、残った家族を養うため、三淵さんは裁判官になる。
最高裁判所では、同僚たちと家庭裁判所の設立に向けて奔走する。
Amazonの「三淵嘉子と家庭裁判所」の紹介ページ
そして、彼女の歩んだ人生と、家裁の黎明期に関わり、「愛の裁判所」を目指した足跡を綴った書籍が、「三淵嘉子と家庭裁判所 清水聡 (編著)日本評論社 以下本書といいます」です。
三淵嘉子と家庭裁判所
本書には、「虎に翼」の設定やエピソードの元になったと思われる記述が満載です。
ここで、少しご紹介します。
ドラマでは、寅子の上司となり、共に家庭裁判所の設立準備にまい進する「多岐川 幸四郎(たきがわ こうしろう)」。滝藤 賢一さんが熱演されています。
このモデルになったのが、宇田川潤四郎です。
朗らかで人に好かれやすく、うれしいことがあると、「うひょー」と大きな声を上げ、テレビドラマを見ると悲しいシーンではすぐに泣いてしまう。硬そうな髪を七三に分けて、鼻下にはちょび髭。どこかユーモラスで、裁判官らしくない天真爛漫さと感情豊かな性格だった。
本書より
ドラマでは、人当たりがよく常にフレンドリー。海外の事情にも詳しく、振る舞いのすべてがスマート。殿様判事こと「久藤 頼安(くどう よりやす)」。沢村 一樹さんが好演されています。
モデルになったのが、内藤頼博です。
いまも新宿区には内藤町の地名が残る。一帯はかつての内藤家の敷地である。そもそも御一新までは隣接する新宿御苑も内藤家の庭園だった。
本書より
内藤頼博は高い鼻と目もと涼しげな二枚目。身長175センチと当時としては長身だった。戦前は裁判官としては珍しい子爵で高貴な雰囲気を身にまとい、ついたあだ名は「殿様判事」である。
主人公寅子のあのエピソードの元になったのが、こちらです。
当時は娯楽も少なく、懇親会の楽しみは、交代で歌を歌うことだったという。
本書より
当時を知る職員は、多くが嘉子の歌声を回想している。
「懇親会などの余興として何度か聴かせていただく機会があったが、その歌は大抵いつも”リンゴの唄”か”アモンパパの歌(モン・パパ)”のいずれかであったように思う。以下略」
ちなみに、このアモンパパの歌(モン・パパ)こそ、「うちのママとうちのパパと並んだとき」で始まるあの歌です。(笑)
さて、ドラマでは、登場人物の「姓」が変わることが話題になっています。
最近では、寅子の学友梅子さんが、「大庭」から「竹原」に変わりました。
三淵嘉子さんは、生涯で三つの姓がありました。旧姓の「武藤」、最初の結婚での「和田」、そして再婚後の後半生での「三淵」。
ということは、これからの展開は・・ますますドラマが楽しみです。
そして、本書を読んで「虎に翼」をさらに楽しみませんか。
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