どんなおはなし?
治安の悪いブロンクスに住むジャマールは、友人たちとストリートバスケを楽しむごく普通の高校生に見えるが、本が大好きで自らもノートに作品を描いていた。
ある日、バスケコートの横のアパートの窓からいつも眺めている老紳士はいったい何者なのか・・・と仲間内で話題になり、ジャマールが興味本位でアパートに侵入。しかし逆に男に脅かされ、バックパックを落としてその場を去った。
次の日、その窓から放り出されたバックパックの中には、彼の作品を赤ペンで添削したノートが入っていた。その的確な指摘に、ジャマールはその男が只者ではないことを感じ、足繁く通ううち、それが伝説の小説家フォレスターだと知る。
ガス・ヴァン・サント作品でも地味なほう
以前見たことがあった作品ですが、最近の小説マイブームにより、もう一度見返したくなり、作品を探していたら、なんと監督がガス・ヴァン・サントで驚きました!
じ、地味じゃん!
私の中でガス・ヴァン・サントといえば『エレファント』『永遠の僕たち』『ラストデイズ』のイメージで、若さヒリヒリ系のサントラで儚い青春の煌めきを映しとるってイメージだったんですが、この『小説家を見つけたら』は地味暖かい仕上がりでした。
この作品ととてもよく似ている『グッド・ウィル・ハンティング』もガス・ヴァン・サント監督ですが、こちらはもっとメジャーで有名ですよね。こちらも隠れた天才少年が、それを導く指導者や暖かい友人や彼女との出会いで、希望に向かっていく・・・というお話ですが、脚本をマット・デイモンとベン・アフレックという、もう今では超大物ハリウッド俳優となった彼らが書いているんです。
『小説家を見つけたら』の脚本はマイク・リッチさんという方が書いているんですが『僕はラジオ』と『オールドルーキー』いう良作の脚本もされていて、なんとなくそちらも地味暖かい系なので、この方の味なのかもしれませんね。
ただ、ショーン・コネリーの演技は本当に素晴らしくて、ショーン・コネリーが出ていなかったらひょっとしてコケた作品になっていたかもしれません。隠しきれないスタイルの良さ。そりゃそうです、だってジェームズ・ボンドなんですから!笑
私はこの『小説家を見つけたら』というタイトルで、若き天才のジャマールのことだと思っていたのですが、現代が『Finding Forester』なのでショーン・コネリー演じる小説家ウィリアム・フォレスターのことだったと気づき、そうなってくると感じ方も違うなと思ったのです。
主役はジャマールじゃなくてフォレスターだった。一作しか世に出さなかった天才小説家は引きこもって、ただ余生を送っていただけだったけど、若い才能に感化されまた世に出ていく。人生の後半にまた煌めくことができた引きこもりレジェンド小説家のお話だったんですね。泣ける。
控えめなジャズのサントラもセンスがよく、「面白かった!傑作だった!大作だった!」というよりは、休日の昼間にコーヒーを飲みながら見て「なんか良かったな」という作品です。
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