以前、本ブログでは、「名画で読み解くイギリス王家 12の物語」をご紹介しました。
そして、前回、「デュ・バリー夫人」の歴史映画をご紹介しています。
ヨーロッパの王朝、特に、フランス王朝に強い関心を持つ筆者ですが、今回、ブルボン王朝 に関連した本をご紹介します。
「名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 中野京子/著 光文社 以下本書という」です。
名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語
本書の特徴は以下の通りです。
ブルボン家はヨーロッパ名門中の名門だが、王朝としてフランスに君臨したのは、およそ二五〇年。ハプスブルク家が、最後は大伽藍がゆっくり崩れ落ちるように濛々たる煙の中に没していったとするならば、ブルボンの終わりはギロチンの刃の落下と同じ、すばやくあっけないものだった。(「はじめに」より抜粋)
世継ぎの混乱と血みどろの宗教戦争に彩られた王朝の誕生から、十九世紀、ヨーロッパ全土に吹き荒れた革命の嵐による消滅まで、その華麗な一族の歴史を、十二枚の絵画が語りだす。Amazonの本書の紹介ページ
本書の表紙を飾るのは、「ポンパドゥール」です。
「上背があってすらりとし、身のこなしは端正でしなやか。上品な瓜実顔で、髪は栗色、目は薄茶、鼻の形は完璧で、口もとは艶っぽく、歯並びのなんとも美しいこと」、宮廷人からそう讃えられたポンパドゥール侯爵夫人の、代表的肖像。(本書より)
ポンパドゥールは、ルイ15世時代を語る上で欠かせない存在です。
すべてを備えた寵姫でした。各国の大使や要人は、王妃への挨拶もそこそこに、高価な土産品と内密の願い事を持って、彼女の居室に押し寄せたといいます。
この絵の彼女は、寵姫になって10年ほど経つ、34、5歳。表情に余裕があり、まさに有能なキャリアウーマンです。
ルイ15世の寵愛を得て、やがて国際政治をも牛耳ることになりますが、七年戦争(1756年ー63年)でのフランスの敗戦を機に、その栄華も終わりをみます。敗戦後、罹患していた結核で体調が悪化し、42歳で亡くなります。
ルイ15世は、ポンパドゥールの死後4年間、公式寵姫の座を空位にします。
ところが、王妃が亡くなった1ヶ月後には、あのデュ・バリーを新たにヴェルサイユに引き入れます。
なお、本書では、イギリス国王「チャールズ1世」の肖像画「狩場のチャールズ1世」についても紹介していますが、その後、フランスに渡ったこの絵は、なんとデュ・バリーの所有となっています。
そのチャールズ1世は、「ピューリタン革命(1640年ー60年)」で、裁判にかけられ公開斬首(1649年)となっています。
デュ・バリー夫人もフランス革命で処刑されます。
一旦は、イギリスに亡命しますが、なぜかフランスに戻り、逮捕されます。
恐怖で暴れ回りながらギロチンにかけられたと伝えられています。
なんという因縁でしょう。
今回は触れませんでしたが、ルイ16世と王妃マリー・アントワネットのエピソードの記述もあります。
本書で、名画とともに「ブルボン王朝」の歴史に触れてみませんか。
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