「暗殺教室」の松井 優征氏の漫画、「逃げ上手の若君 (以後「逃げ若」といいます) 」がTVアニメ化されるとの発表がありました。
そこで、「逃げ若」ファンの筆者としては、アニメ化を祝して原作漫画についてご紹介いたします。
主人公「北条時行」とは(史実)
源頼朝によって開かれた「鎌倉幕府」は、彼の死後、実権が彼の妻「政子」の実家の北条氏に移りました。しかし、その鎌倉幕府も、有名な蒙古襲来ののち、次第にその力を弱めていきます。
あの「後醍醐天皇」の即位をきっかけにして、倒幕の動きが強まっていきます。
そして、1333年、足利尊氏(高氏)によって、鎌倉幕府は滅亡します。
その時の執権(北条氏が代々務めた幕府の重職)の北条高時以下、一族は殺されてしまいます。
しかし、その時、奇跡的に生き残ったのが、高時の子、時行だったのです。
鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇は、天皇中心の新しい政治を行います。これを「建武の新政」といいます。
しかし、鎌倉幕府の滅亡は、北条氏一族の滅亡にすぎず、武士の力が衰えたわけではありませんでした。
次第に、武士たちは、新政への不満を募らせ、地方武士の反乱として噴出します。
その最大の反乱が、時行がおこす「中先代の乱」だったのです。
1335年、時行は信濃で挙兵し、尊氏の弟「直義(ただよし)」の軍を破って、父祖の地「鎌倉」を占拠します。しかし、最終的には、東進した尊氏に敗れてしまいます。
「中先代の乱」については、鈴木由美氏の著作に詳しいです。
「中先代の乱-北条時行、鎌倉幕府再興の夢」(中公新書)鈴木由美(著)中央公論新社
また、NHK総合の「歴史探偵」でも「南北朝の若君たち 北条時行と北畠顕家」として放送されました。
「逃げ上手の若君」とは
「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征が少年ジャンプに帰還!
少年ジャンプの本作の紹介ページ
最新作は史実を描く逃亡譚!鎌倉と室町の歴史の狭間で、誰にも物語られたことのない逃げる英雄がいた――。
その名は北条時行。足利高氏によって鎌倉幕府を打倒され、家族も地位も失った少年は、地の果てまで逃げ延び復讐を遂げられるか!
「逃げ若」は、「週刊少年ジャンプ」にて2021年8号から連載中です。
なお、コミックスは、2023年8月現在、11巻まで発売されています。
「逃げ若」の魅力
登場人物がとても魅力的です。
主人公の「時行」は、最初は何もできない自分に悩むこともありましたが、「逃げ」を極めるまでに成長していく姿が頼もしいです。性格は素直で、誰からも慕われます。
そして、時行の配下で彼と同年代の幼子で構成される「逃若党(ちょうじゃとう)」は彼を助けて大人以上の活躍をします。
逃若党
雫(しずく)
時行をかくまった「諏訪頼重」の娘で、秘術使い。いつも巫女のような装束を身に着けています。
クール・ビューティーって感じです。
弧次郎(こじろう)
剣豪少年。祢津氏の影武者。出生に何か秘密があるようです。
亜也子(あやこ)
怪力少女。時行と同い年ながら、大人と間違うほど背が高いのが特徴です。
天真爛漫で明るい性格で、時行に想いを寄せています。
風間玄蕃(かざま げんば)
妖術使い。いつも狐面を被っていて、正体不明。
吹雪(ふぶき)
二刀流の軍師。長髪で片目を隠しています。その素性は足利方の下級武士の子。
足利学校で文武を身につけています。
足利氏
足利尊氏(あしかが たかうじ)
鎌倉幕府と北条氏を滅ぼす。人間離れした戦闘力とカリスマ性をもっています。
かなりのイケメン。
足利直義(あしかが ただよし)
尊氏の弟。頭脳明晰で、現在の鎌倉の統治者。
高師直(こうの もろなお)
足利家の執事。ちょっと見妖怪みたい(笑)
そして、迫力ある戦闘シーンもみどころです。時に残虐なシーンも描かれていますが、中世の日本のありのままを垣間見た気がします。
これからコミックスでは、いよいよ「中先代の乱」が描かれていきます。
ますます、「逃げ若」から目が離せません。
そして、TVアニメも楽しみです。
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