阪急電鉄、今津線、兵庫県の宝塚駅と西宮北口駅間の全8駅、全長7.7キロ、片道15分の路線。
この電車内と沿線の街がこの物語の舞台です。人は皆いろんなやりきれない気持ちを抱えて生きています。それは誰にも言えない。言っても仕方ないことだとあきらめるしかない。自分で解決するしかない。そう思って生きています。周りには自分と同じ時代を生きているこんなにもたくさんの人がいるのに、それは何の意味も持たないのでしょうか・・。
しかし、皆それぞれに訪れる奇跡がありました。
現在はかつてないくらいの危険な時代です。暗いニュースばかりで、誰も信じられない気持ちになってしまいます。しかし、人はやっぱり人にやさしくできる。人には誰かの人生を変えられる力を持っている。そんな気持ちにさせてくれる映画でした。
この映画が公開されたのは2011年4月。あの東日本大震災の直後です。当時も今と同様暗いニュースばかりでした。そんな中、当時この映画を観た人々を大いに勇気づけたことでしょう。11年経った今改めてみることができた奇跡に感謝したいです。
この作品は、有川浩の小説を映画化した群像ドラマです。
出演者は、中谷美紀、戸田恵梨香、宮本信子、南果歩、谷村美月、有村架純、芦田愛菜など今も第一線で活躍中の方々ばかりです。
始まっていきなりの修羅場。婚約者を後輩に奪われたOL(中谷美紀)。鈴木亮平さんが(元)婚約者役で登場してびっくりです。
そして、恋人からのDVに悩む女子大生(戸田恵梨香)。この二人の女性をメインに物語は進行します。そんな二人に偶然関わる老女(宮本信子)と孫娘(芦田愛菜)。孫娘から犬を飼いたいと言われても、老女には飼えないワケがありました。
さらに、自分の苗字に悩む田舎から出てきた女子大生(谷村美月)。大学進学に悩む女子高生(有村架純)。ママ友の誘いを断れず振り回されてばかりの主婦(南果歩)も微妙に絡んでいきます。
筆者は、特に心に響いたのは最後に登場する、友達からいじめられている小学生の女の子「翔子」(高須瑠香)。強がっていても、でも誰かに助けてもらいたい少女を見事に演じています。そんな彼女に手を差し伸べる中谷さん演じるもう一人の翔子。彼女はあの事件からもう立ち直っていました。そして、友達に見られないように自分が壁になってハンカチを渡すシーン。とってもカッコイイって思いました。
あと、谷村さん演じる女子大生と彼女と偶然付き合うことになった同じ大学の同級生(勝地 涼)の掛け合いはほんとほっこりするシーンです。勝地さんと言えば、今はちょっとダークなイメージですが、軍ヲタだけど真っ直ぐな青年を好演してびっくりしました。
当たり前ですが皆さんすごくお若いです。芦田愛菜さんに至っては公開当時小学校に入学したばかりと時の流れを感じさせます。でも演技は当時から完璧でしたね。
映画ってほんと素晴らしいと思わせる作品でした。
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