どんなおはなし?
アテネで36年間、父親と共に高級スーツの仕立て屋を営むニコス。
しかし、時代の波に飲まれ、オーダースーツの需要は減り、お店は銀行に差し押さえられることに。
ショックで父親は倒れ、自分がなんとかしないと!と思いついたのは、屋台でスーツを売る路上販売・・・。
高級スーツはもちろん売れるはずもなく、なすすべないニコスに「ちょっと、そこの洋服屋さん!ウェディングドレスは作れる?」と声をかける女性が。
ウェディングドレスはもちろん、婦人服も作ったことのないニコスでしたが、思わず「はい!できます!」と答えてしまう。
ここから、ニコスのウェディングドレス作りが始まっていきます。
監督は次世代のアキ・カウリスマキと期待されるソニア・リザ・ケンターマン
正直、この映画を観た後に色々と調べた時に、監督が若い女性だと知って驚きました!なんともいえないノスタルジーのある映画だったからです。
それもそのはず、バスター・キートン、ジャック・タチなどの往年の無声映画やフランス映画をヒントにした映画スタイルなのだそう。
間の取り方や、物の写し方など、どこか懐かしさを感じるのですが、ちゃんと現代風なスタイリッシュさもあり、美しい映画でした。
ニコス役が良い
ニコス役はディミトリス・イメロス。ギリシャでは有名な俳優さんとのことですが、ちょっとMr.ビーンを思い浮かべてしまいました。
しかし、中年であっても清潔感があり、寡黙でも優しさが感じ取れるニコス役は本当にお見事でした。
ウェディングドレスやワンピースに胸キュン
一緒にウェディングドレスを作ることになる、ご近所の裁縫上手の主婦オルガ。
いつも自作のワンピースを着ていてとっても素敵なんです。余り布でどんどん婦人服を作っていき、ニコスのお店に貢献してくれます。
ウェディングドレス作りでは、お客の要望に合わせてその場でアレンジを施したりと、見ていてとても心踊ります。
ウェディングドレスは女子の夢。
「あなたには細身のドレスが似合う」とニコスが言っても「絶対イヤ!フワッと膨らんだドレスにしたいの!」と譲らないお客様。
それが例え招待客から「もっとマシなドレスが作れなかったの?」と嫌味を言われても「お客様のご要望ですから」と微笑むニコス。
初めは、良い生地で高級に仕立てる事が良いテーラーと信じていたニコスも、懸命に働く人々にとって、その人の望む服をなるべく安く提供したいと価値観が変わってきます。
一歩踏み出す勇気
お店が差し押さえ勧告を受け、父親は倒れ、途方に暮れていた彼が、高級店から屋台で一歩踏み出した時は、感動しました。
寡黙に懸命にコツコツと励むニコスをきっと応援したくなりますよ。
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