大友克洋の「童夢」からインスピレーションを受けた映画『イノセンツ』

スポンサーリンク
ひなぎくのほぼ日記

どんなおはなし?

巨大団地に引っ越してきた9歳のイーダ

姉のアナは自閉症で、そんな姉にかかりきりの両親に不満を抱き、姉の靴にガラスを入れるなどの意地悪をしている。ミミズを踏み潰したりする残酷さを見せるイーダだが、ある日同じ団地に住むベンと仲良くなる。

ベンは念じると小さな石ころを動かせる超能力があった。

一方、姉のアナと仲良くなったのは同じ団地のアイシャ。心を読むことができるアイシャは自閉症で気持ちを伝えられないアナの心を代弁したり、アイシャを介してしゃべったりすることもできた。

4人はその能力を使ってできることを増やし、無邪気に遊んでいたのだが、ベンの残酷さが暴走し始め恐ろしい事態となっていく・・・

監督キャスト

監督は「わたしは最悪」の共同脚本家として一躍有名となった、エスキル・フォクト

キャストの子供たちは人種もバラバラながらもみんな素晴らしかったです!同じ北欧だからか、スウェーデン映画の「ぼくのエリ」にも似た雰囲気があって、静かな不気味さを感じる映画です。

ノルウェーのアカデミー賞と言われるアマンダ賞でも数多くのノミネートや受賞を果たしています。

感想

邦題の「イノセンツ」のとおり、無垢な子供たちはまだまだ「痛み」に鈍感で、好奇心の方が優っている存在。

監督は「イノセンツ」というタイトルに込めた想いとして

「子供は善悪の概念を超えている、もしくはそれよりも前に存在していると思います。しかし、人は純粋な心で生まれてくる、子供は小さい天使だ、とは思いません。子供は共感性も道徳も持たずに生まれてきて、私たちがそれを教えなければいけないのです。だから大人が悪だと思っていることを、子供がやってしまうと面白いのです。道徳はまだ完全に形成されておらず、より複雑です。

子供が小動物の目を突く児童心理学の研究を読んだことがあります。それは必ずしも危険の兆候ではなく、彼らは実験をしながら、違ったリズムで共感性や若さを成長させていくのです。道徳の基本は、親が「これは間違っている」「これは正しい」と教えることですが、本当の意味での道徳は人々の中に根付いていて、自分自身が「悪い」と感じることなのです。道徳の指針を見つけるには、実験して、親の教えを逸脱することが必要です。私にとって重要なのは、本作に登場する最も危険な子供が、決して悪い子供ではないということでした。子供たちは皆、人間らしさを保っているのです。

otokoto エスキル監督インタビューより

大友克洋さんの「童夢」にインスピレーションを受けて作られ得た本作は、日本人すら忘れかけていた名作を再び見直すきっかけを与えてくれます。

エスキル監督の超能力の表し方は、まさに大友先生のような凄みがありました!

残酷なシーンもあり、ちょっと怖いんですが、ラストのアナは超カッコいいので必見です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました