抗争の中に光る家族の暖かさ
どんなおはなし？
１９６９年アイルランドのベルファスト地区。全員が知り合いでご近所同士が和気藹々とした雰囲気の街でのびのびと遊ぶ9歳のバディ。しかし急にプロテスタント過激派によるカトリック教徒住民への迫害が始まり、街は一変して危険な場所へと変わってしまいます。イギリスへ移住したい父と、ベルファストに残りたい家族。果たしてバディたちの下した決断とは！
オフィシャルHPより
ケネス・ブラナーの自伝的映画
映画や演劇の世界での一大スターケネス・ブラナー。今作は監督・脚本を手がけており、ストーリーは北アイルランド出身の監督自身の幼少期の体験をもとにした自伝的映画と言われています。その頃のアイルランドの背景を知らないとあまり掴みどころがなく、当事者だった監督の思い出記録的な自己満足感も否めません。
ただ、映像と俳優の演技は間違いなく一級品で、クオリティの高い仕上がりになっていました！
カラーからのモノクロ映像
冒頭、色彩豊かな現在の美しいベルファストの風景から映画は始まります。そして１９６９年の街へと移るとそこはモノクロの世界。監督曰く、当時のベルファストの空はいつも曇っていて、街は薄暗く、モノクロに見えていたとのこと。しかしそれが非常に効果的で、懐かしい風景へのノスタルジイが伝わってくるようでした。
いぶし銀俳優たちに名演に注目！
ストーリーはさておき、とにかくいぶし銀俳優たちのドシンとした存在感あふれる演技には「参りました！」と言わざるをえません。
特にジュディ・デンチ！抜群の重みです。おん年87歳とのことで、深みのある皺ひとつひとつが説得力あるんですよね。本当に素晴らしい演技でした。監督もそういったキーパーソンとして彼女をキャスティングしたのでしょう。ラストも彼女で締め括っていました。
次期ボンドに推薦したい！ジェイミー・ドーナン！
映画を見ていて、バディくんのお父さん役に「え？誰このカッコいい人？こんな俳優さんいたかな？」と思い、すぐに調べたら、名前はジェイミー・ドーナン、そしてなんと「フィフティ・シェイズ」シリーズの人と知りびっくり！見てないのですが、もっとギラギラしたイメージでした。なので今回のお父さん役はイメージを好転させる良い役だったんじゃないかと思います。
そして「次期ボンドにいけるんじゃないか？バンドに必要な体型、品のある所作、歩き方。スーツの似合い具合、色気、兼ね備えているんじゃないの？？」って思って検索したら、もう候補者名に入ってましたね。さすがボンドファンは目ざとい（笑）
これからも動向を伺っていきましょう。
オフィシャルHPより
６０〜７０年代ファッション
スウィンギングロンドンの時代で、Aラインのミニスカート率高めでした！お母さん役のカトリーナ・バルフはすらっとした長身で、細身のお洋服がよく似合う！母親でもミニミニスカートなので、現代ではありえないですが、しかし時代は巡るもの。もしかしたらミニスカートが大流行するかもしれません。
とにかく雑誌から抜け出たように可愛いスウィンギングファッションでした。
オフィシャルトレイラーより
小さな街が抗争に巻き込まれる恐怖
ついさっきまで仲良くしていた隣人が、プロテスタントとカトリックという宗教の違いで争いに巻き込まれるのは見ていて恐怖でした。
常に起こる宗教観の対立なのか、ただただ人間同士は何か理由を見つけて争わずにはいられない生き物なのか。とても悲しいですね。
そんな中でも、決して完璧とは言えないけれど、優しく暖かい家族をフィーチャーして、映画を暖かいものに作り上げています。
また好きな映画に希望を見出して、暗い少年時代を乗り越えたケネス・ブラナーはやっぱりすごいと思いました。
私にとっては「ハリー・ポッター秘密の部屋」のロックハート教授のイメージが強すぎるのですけど。笑
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